映画でも小説でも、ハッピーエンドが好き。特に恋愛ものに関しては「ハッピーエンドじゃなきゃイヤ」なくらい。だからオレはあれほどヒットした"セカチュー"も、本でも映画でもドラマでもまったく見てない。だって彼女、助からないんでしょ?セカチューの映画の広告だったかな、誰かが「私もこんな恋をしてみたいと思いました」なんて書いてたけど、冗談じゃない(笑)。相手が病気で助からない恋愛なんて、それがどんな素敵な時間を間に含んでたとしても、その時間が濃いものだったとしても、自ら望んでしたいなんて思わない。
今日、1冊の短編集を読み終えた。
石田衣良の「スローグッドバイ」。
※この先、少しネタバレ含みます(セカチューについてはもうネタバレさせちゃってるけど。でもあれは映画のCMがもうネタバレだったよね(笑))。それでも構わないって人だけ、↓をクリックして続きをどうぞ。
10編の短編恋愛小説で、石田衣良は初めて読んだんだけど、オレの中でかなりのヒット。おもしろかった。(ちょっと余談:石田衣良の小説の特徴に、街の風景に徹底的に現実味を持たせるってのがあると思う。渋谷や銀座や横浜など、舞台になる場所は緻密に具体的に描写されていて、彼がきちんと取材して書いてることがわかる(ただ歩いてるだけかもしれないけど)。横浜も含め、都内の繁華街にそれなりに出歩くことの多いオレは10編全部について情景を思い浮かべることができて、だから余計にぐっと来たのかもしれない。)
オレは10編を最初から順に読んでったんだけど、半分くらい読んだところで気が付いた。ハッピーの度合いに程度はあれど、
どれも基本ハッピーエンドで終わってる^^って。ハッピーエンド好きなオレは、読んだ後で悲しい気持ちにならないことを確信しつつ安心して6編め、7編めを読み進む。やっぱりハッピーエンドだ^^9編めまで読んでもやっぱりハッピーエンド。
で、最後の1編。本自体のタイトルにもなってる「スローグッドバイ」。読み始めて"異変"を感じた。
どう考えてもハッピーエンドにたどり着きようがない出だし。この結末はもはや確実にせつない。いや、無理をすればハッピーエンドに持ってくこともできなくはないだろうけど、持ってったら話があまりにも陳腐になりそうな感じ。「石田衣良はきっとそんな陳腐なことはしない。。。けど、ってことはハッピーエンドじゃないのか?」そんなことを思いつつ読み進めました。
実際、ラストがどうなるかは自分の目で確かめてみてください。
ひとつだけ言っておくと、読んだ後、その10編めにとどまらず、10編全体を心地よく感じました^^。
本選び下手だけど、これは正解だったな^^。